松前沖~秋田県沖での日本海側のスルメイカ分布密度が、昨年並みで、過去5年(2017~21年)平均を下回ったことが5月31日、道総研函館水試の調査で分かった。01年以降で19、21年に次ぐ3番目に低い値となり、1日の道南スルメイカ漁解禁直後の漁獲は厳しい見通し。
道南スルメイカ漁は解禁直後、日本海を北上する群れを狙い、松前小島周辺で操業。調査は、同水試の試験調査船「金星丸」(151トン、イカ釣り機5台、集魚灯20灯)で今月20~25日に実施した。
松前沖以南の5地点で分布密度を調べたところ、イカ釣り機1台1時間当たりの漁獲数は平均0・12匹で、昨年の0・09匹と同程度で、過去5年平均(4・9匹)を下回った。最も密度が高かったのは松前小島付近の0・25匹で、青森県沖と深浦沖でも漁獲はあったが、0・13~0・20匹と低水準。津軽海峡西方と男鹿半島沖では漁獲がなかった。
漁獲したイカの胴長の範囲は7~17センチ(昨年11~15センチ)で、最も多く捕れた魚体サイズは、昨年、過去5年平均と同じ14センチで小ぶりだった。
イカ分布の目安となる水深50メートルの水温は、男鹿半島から南は10度以上の水域があったが、それ以北では10度以上の水域は沿岸側に限られ、調査海域の北西側は沖合冷水が沿岸寄りに張り出していた。
同水試の三原栄次主任主査は「分布は低密度で、津軽海峡の北海道側はイカの来遊に適した水温になっておらず、漁期序盤は昨年同様に厳しいだろう」と話す。(山崎大和)