台風10号による道南の農業被害は渡島508ヘクタール、桧山1259ヘクタールに上ることが、渡島総合振興局と桧山振興局のまとめ(5日現在、速報値)で分かった。道南はその前に道内を襲った台風7、11、9号では被害がなかったが、今回は各地で野菜の倒伏などの被害が相次いだ。
管内市町の聞き取りによる数字を集計した。渡島総合振興局によると、松前町を除く2市8町で被害が報告され、被害面積は野菜が217ヘクタール、飼料作物が135ヘクタール、畑作物が94ヘクタール、果樹が57ヘクタール、水稲が6ヘクタールなど。停電の影響で生乳29トンの廃棄も余儀なくされた。このほか、ビニールハウスの破損を中心に営農施設で782棟の被害があった。JA施設で倉庫被害が1件確認された。
森町では、暴風の影響で家畜飼料用トウモロコシ90ヘクタールが倒伏。カボチャ80ヘクタール、大豆40ヘクタール、小豆30ヘクタールも品質低下が懸念される。七飯町では、長ネギの曲がり、葉折れが120ヘクタールに上ったほか、リンゴの落果、枝折れ、傷果の発生が57ヘクタール。果実落下は30%に達した。北斗市では、ビニール破損が176棟と続出した。
桧山振興局によると、今金町807ヘクタール、せたな町161ヘクタール、江差町63ヘクタール、厚沢部町181ヘクタール、乙部町47ヘクタールの被害が出た。水稲やトウモロコシ、大豆、小豆、ソバ、ブロッコリーなど作物の広範囲に被害をもたらした。
渡島総合振興局は「管内は水没こそ少なかったが、風の被害が多かった。野菜は共済(保険)対象外の作物が多く、収穫不能になると経営への打撃が大きい。リンゴは落ちなかった果実も傷果が多発し、品質低下が心配だ」(農務課)としている。(山崎大和)