2021年7月に世界文化遺産登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産である、垣ノ島(臼尻町)、大船(大船町)の両遺跡では、今年度の来場者数がすでに昨年度を上回っている。特に垣ノ島遺跡は今年度11月末現在で昨年度から1・5倍の4万478人となっている。コロナ禍による行動制限がなかったことによる旅行客や教育旅行の増加などが主な要因とみられる。今夏からはデジタルコンテンツの導入が進み、見学内容も多様化。さらなる集客アップに期待がかかる。
20年に市教委が作成した「縄文遺跡群の世界文化遺産登録による効果促進施策のあり方」では、国内で先行して世界遺産登録された資産の来訪実績値を基に、2遺跡を含む関連施設の来場者数を推計。登録前年度と比べ、登録初年度の21年度は3・18倍、22年度は1・94倍、23年度は1・55倍としていた。
新型コロナの影響で来場者は伸びていないが、昨年7月オープンで約8カ月の稼働だった垣ノ島は、昨年度2万6871人に対し今年度は4万人を超えた。大船も21年度は登録前の2・5倍となる2万5682人で、今年度は2万7623人とすでに昨年度を上回った。
市は今夏から垣ノ島で随時、スマートフォンなどを使ってAR(拡張現実)やVR(仮想現実)で遺跡の情報を体験できるデジタルコンテンツの公開を進めている。発掘体験などもでき、市文化財課は「この状況を維持発展できるようさまざまな施策を進めていきたい」と話す。(小杉貴洋)