渡島総合振興局は本年度、木材資源を有効に活用した函館市西部地区の活性化を目指す事業「みんなですすめる木づかいプロジェクト」に本腰を入れる。地域材の需要拡大を図ることが課題となっており、林業を通じて若者たちの就業の受け皿になる考えだ。人口流出が進む西部地区に「道南地域材工房」を開設し、将来的には工房が集まる〝クラフトストリート〟を誕生させ、まちににぎわいを取り戻す。
渡島の林業は、道南スギ、トドマツの人工林が伐採適期となり、5~10年後に伐採ピークを迎える。地域材の利用拡大が求められており、新たな用途を検討することが急務だ。一方、函館に目を向けると、西部地区の空き家・店舗の増加や、若者を呼び込むため雇用の場確保が課題となっている。
プロジェクトでは、若者を対象とした地域材デザイン・クラフトコンペを開催し、西部地区をテーマにスギ、トドマツの新たな用途をデザインしてもらう。コンペ応募者の中から、工房の核となるクラフト作家を函館に呼び込む狙い。
また、イベント用屋台を制作し、函館西部地区バル街や元町フード祭りなどで活用する。
若者・学生の就業支援として、オープンスクールを西部地区で年に5回開催。大学生が地域材に触れるとともに、空き家・店舗の活用法を考える機会を提供する。このほど、第一弾を開き、公立はこだて未来大と道教育大函館校の学生計10人が参加。古民家を再生させてリノベーションをすることが注目を集める中、未来大がサテライトとして使うデザインスペース弥生町(弥生町8)で、道南スギの建材を内壁に張り付ける作業を行った。
振興局の独自事業で、期間は2015~19年度。16年度の予算は110万円となっている。林務課は「地域材の需要を生み出す工房を西部地区に立ち上げ、林業・木材産業に就職する若者を増やしていきたい」としている。(山崎大和)