函館市は新年度、性的少数者(LGBT)のカップルを公的に認証する「パートナーシップ制度」の導入に向けた準備を進める。有識者らによる検討委員会を立ち上げて制度内容を考えるほか、企業への理解促進を図るための啓発パンフレットも制作する方針。現在、道内で導入しているのは札幌市のみ。函館市は2022年4月の導入を見込む。(小杉貴洋)
全国では2015年に東京都の渋谷、世田谷の両区で始まり、1月末時点で70を超える自治体で導入されている。道内では札幌市が2017年から行い、北見市も検討を表明している。
同制度は法的な効力はなく、配偶者に認められる税制優遇措置などは受けられない。ただ、公営住宅の申し込みや民間サービスの家族割引が適用されるほか、一部の保険会社では生命保険の受取人となることもできるなど、公的に認められることで夫婦や家族を要件とする各種サービスが受けやすくなるという。
“函館市版”パートナーシップ制度導入に向け、新年度予算案に検討経費として100万円を計上。今後、有識者らによる委員会を開いて制度内容の検討を進める。当事者や市民の意見も聞き、反映させたい考え。全国的には企業でも性的少数者が働きやすい環境を目指した取り組みを進めており、取り組み事例を紹介する啓発パンフレットも作成する。
工藤寿樹市長は新年度予算の発表会見で「函館市をさまざまな人に優しい街にしていきたい」と述べた。市市民・男女共同参画課は「制度を整備するだけでなく、理解してもらい実効性あるものにしたい。予算案可決後に速やかに取り組みたい」としている。