函館市企業局交通部がまとめた今年度上半期(4~9月)の函館市電の利用客(速報値)は、前年同期比8・7%減の273万人3000人で、上期としては2年連続で前年を下回った。函館出身のロックバンド「GLAY」による8月の野外ライブで特需があったものの、胆振東部地震に伴う運休や観光客の落ち込みなどが影響した。
1日当たりの平均利用客は約1万4900人。月別では、ライブのあった8月が前年同月比0・4%増。GLAYをモチーフとした全面ラッピング車両の運行でムードを盛り上げ、特製の1日乗車券の販売などが乗客増につながった。
一方、4、5月が同13%減となるなど「北海道新幹線開業効果が薄まり」(同部)、8月以外は軒並み前年割れ。特に震災に伴う停電で2日間の運休を余儀なくされた9月は、同15%減と大きく数字を落とした。ただ、クルーズ客船で訪れた外国人客の利用は増加傾向で、1日乗車券の販売も好調だという。
4月からICカード化した定期券の上半期の販売は、前年同期と比べて1・5倍に増加。6カ月券の新設や、通学定期の割引率を4割から5割に拡充したことなどが数字を押し上げた。
今年度の輸送人員計画は、昨年度の実績と比べて約50万人少ない520万6000人程度。上期と同様のペースで10月以降も推移した場合は達成できる見込み。同部事業課は「上半期の落ち込み分を下半期でできるだけ盛り返したい」としている。(山田大輔)