総務省が発表した今年1月1日現在の函館市の人口(日本人住民)は、前年比3020人減の26万1572人と道内トップの減少幅だった。生まれる子どもの数が少ないことが影響しており、市は子育て支援の充実とともに、比率で女性人口が多いため若い男性が働きやすい環境づくりに継続して取り組む考えだ。渡島・桧山管内18市町の人口は同5918人減の43万5914人で、全市町で減少した。
函館市は出生数から死亡数を差し引いた「自然減」が2245人、転出者が転入者を上回る「社会減」が775人。2017年1年間に生まれた子どもは1414人と前年より125人減っており、人口減に大きな影響を与えている。一方、社会減は縮小傾向にある。
合計特殊出生率(15~49歳女性の年齢別出生率を合計したもの)の低下に伴う出生数の減少は、市の場合、出産適齢期の女性の数が減っている上、未婚化・晩婚化の進行も背景にある。女性の価値観や生活スタイルは多様化しており、市が結婚・出産への施策を打ち出しても、現実を見ると解決は一筋縄ではいかない。市企画部は「安心して子どもを生み育てられる環境づくりを引き続き推進・充実していく」と気を引き締める。
市では、今年度から若者の新たな出会いの場を支援する「はこだてシェア・タイム」を始めたほか、地元に戻って就職する若者を増やすため、IT企業誘致も積極的に進めている。労働生産性が高まれば、従業員に支払う給料も増えるため、企業でのAI(人工知能)の利活用を後押しする。
全道をみると、函館市に次いで人口減少数が多かったのは旭川市(2758人)、釧路市(2249人)、小樽市(1866人)の順。どの自治体も人口減を食い止める決定打は描けていない。(山崎大和)