函館市は空家対策特別措置法に基づく「市空家等対策計画」の素案をまとめた。空き家が多い西部地区と中央部地区を重点対象地区に設定。2016年度から5年間の計画期間に、同地区で50戸の空き家や除却後の土地の活用、倒壊の恐れのある特定空家120戸の解消を図る。市は新年度予算案に空き家解体補助制度を新設するなど、関連予算を計上している。
17日に市役所で開いた市空き家等審議会(会長・米塚茂樹弁護士)で素案を了承した。内藤敏男都市建設部長は「計画の取り組みを進めることで居住環境の改善と地域活性化につながると考えている」と述べた。
各種統計や調査などによると、全市の空き家戸数は約2万3000戸あると推計される。1ヘクタール当たりの空き家密度は全市平均で約9戸だが、西部地区が約28戸、中央部地区が約12戸と多い状況にあり、早期改善と街なか居住を促進する観点から両地区を重点対象地区に設定した。
居住可能な空き家は、道が開設する「情報バンク」への登録を促す。危険な状態にある空き家所有者に対しては、特措法や市の条例に基づいて適切に対処することなどを計画に盛り込んだ。市は今後、重点地区を優先的に実態調査を進め、データベース化を進める。
一方、空き家対策を推進する関連事業として、新年度予算案には空き家の解体工事費の一部を補助する空家等活用促進補助金に600万円を計上。上限額を30万円として補助する制度で、市は年間20戸、5年間で100戸の空き家解消を見込む。
また、利活用が可能な空き家に子育て世帯が入居する場合、リフォーム費用を補助する制度も創設。補助対象経費の20%以内、100万円を上限に設定し、500万円の予算を計上した。両補助制度の対象地域は重点地区内となる。
素案は市の政策会議を経て、3月にパブリックコメントを実施する。(今井正一)