函館市は、2016年度から5カ年の交通安全施策の指針となる「第10次交通安全計画」を決定した。事故防止に向け、新たな動きとしてスマートフォン(スマホ)利用や危険ドラッグの危険性を明記。高齢ドライバーが運転免許証を自主返納しやすい環境づくりも検討する。
1971年から5年ごとに計画を策定し、交通安全に関する施策を展開。国の交通安全基本計画(第10次)、道の交通安全計画(同)の策定を受け、市でも昨年8月に市交通安全対策会議(会長・工藤寿樹市長、委員25人)で検討を始め、今年3月末に市の実情に即した計画をまとめた。
全4章で構成。1章は道路、2章は鉄道(JR、道南いさりび鉄道)、3章は踏切、4章は軌道(市電)の交通安全について施策を盛り込んだ。
スマホの普及に伴い「ながらスマホ」とも呼ばれる歩きスマホ(スマホの画面を見ながら歩く)という新たな問題が浮上しており、利用上の注意喚起に努める。15年に制定された道条例を踏まえた飲酒運転の根絶とともに、危険ドラッグの危険性に関する啓発活動を追記した。
高齢者の免許返納を促す方策も検討。高齢運転者による重大な交通事故が相次いだことを受け、政府も免許を返納しやすい環境整備を重視しており、重大な事故に焦点を当てた安全対策を進める。ただ、市では既に高齢者交通料金助成事業を実施しており、これを有効に活用する。また、安全運転を支援するシステムを搭載した先進安全自動車に関し高齢ドライバーの利用の視点から、情報収集や普及について検討する。
道警函館方面本部の調べでは、市内の交通事故での死者数は1969年には36人だったが、75年には9人と大幅に減少。その後再び増加に転じ、93年には25人に達し、96年から再び減少、15年には5人となり、ここ数年は1桁台で推移している。
市市民部は「今回は特に歩きスマホの危険性が社会問題化しており、注意喚起の取り組みを啓発の中に取り入れていきたい」としている。(山崎大和)