函館市の工藤寿樹市長は20日の定例会見で、新年度の市政課題について、3月26日の北海道新幹線開業による市の経済再生を掲げ、「交流人口の拡大を前面に出しながら進めていきたい」と意気込みを述べた。まちづくりの視点からも、新年度から15年かけ、西部地区のような観光客に人気のある街並みを全市的に整備する〝ガーデンシティ計画〟を本格的に着手することを強調した。
新幹線開業による国内外観光客の一層の増加に期待する同市長は、市政2期目の柱である経済再生と人口減少対策を引き続き、重点的に取り組む姿勢をみせた。人口減少対策は本年度、企業立地促進を目的とした補助制度を創出したことを挙げ「若者の雇用拡大のため、企業誘致を本年度以上に取り組んでいきたい」と述べた。
同計画は同市長が、歩いて楽しい魅力あるまち(ガーデンシティ)づくりを進めるのを目的に、新年度に策定。同市長は優先的に街路整備を実施する地区を決定し、新年度予算に整備事業費を盛り込む見通しを示した。また、着手時期は未定だが、同計画を進める上で函館山の遊歩道、登山道も整備することを明かした。
夜景だけでなく、市民や観光客が昼間の函館山を散策する自然観光資源として活用するのが狙い。一般市民でも登れる標高(334メートル)で、獣害などの危険性もないことから「イメージとしては、手すりや木製の階段を付けるもので、ピクニックのように楽しめるようにすれば、十分(観光)資源になり得る」と説明した。
このほか、市熱帯植物園の改修や、市立函館博物館や市北方民族資料館などの機能を集約する「総合ミュージアム」(仮称)の設置を検討する。総合ミュージアムは市政1期目の公約に掲げており、市立小中学校再編による廃校を利用する考えが出されている。集約化により各施設のランニングコスト削減につながる一方、貴重資料の温湿度管理などが必要で「実現可能か調査中」(市教委)とする。(蝦名達也)