函館港へのクルーズ船の入港回数が新年度、過去最多に並ぶ今年度(47回)を上回る見通しであることが分かった。函館市の大泉潤市長が、函館新聞のインタビューで明らかにした。インバウンド(訪日外国人)需要の本格回復に向け、市長自らポートセールスに注力する考えも示した。
市長は「来年度はさらに多くのクルーズ船に寄港してもらえるようポートセールスに力を入れたい。まだ増やせる」と述べた。「欧米豪の観光客が乗ってくる船が多く寄港するのが函館の利点であり、チャンスだ」と強調、情報発信力に期待を込めた。
市によると、日本の船会社や旅行代理店の情報から、来年度は今年度を超す寄港数になると見込む。また、国内クルーズを運航する日本の船会社がクルーズ船の新造や購入を進めており、今後も寄港数の増加が期待できるという。市港湾空港部は「定番の寄港地観光ツアーだけでなく、クルーズ船社が望む新しい要素を加えたツアーの造成、商品の認知度を高めることが必要」と強調する。
水際対策の緩和で、今年度のクルーズ船の入港回数は過去最多の2019年度に並ぶ47回。今年度は日本船の寄港は減少したが外国船の寄港が増え、複数回寄港する外国船や、初寄港で訪れる外国船も多かった。函館朝市や市街地に近い若松埠頭(ふとう)が本格供用を開始し、ダイヤモンド・プリンセスの4回を含め34回の寄港があったことや、港町埠頭に大型のクルーズ船MSCベリッシマが13回寄港し、クルーズ船を利用した観光客は市に大きな経済効果をもたらした。
市と函館国際観光コンベンション協会は2月、新型コロナウイルス禍前に実施していたクルーズセミナーを東京で開くことを検討しており、函館港や観光資源をアピールする考え。
経済界からは歓迎の声が上がる。函館商工会議所の久保俊幸会頭は「23年度はコロナ禍が明け多くのクルーズ船が入り、地元への経済効果も大きかった。さらに入港が増えるのは経済界としてはありがたい。コロナ前に、市とともにトップセールスを行ってきた成果も出ているのでは」と期待を寄せている。(山崎大和、飯尾遼太)