函館市浜町を中心に砂浜に大量のイワシが漂着した問題で、市と渡島総合振興局は9日、魚の死骸の除去作業を始めた。緊急的な対応として100人態勢で手作業の回収を行い、6台のゴミ収集車で運搬、日乃出清掃工場(日乃出町)で焼却処分する。打ち上げられたイワシは広範囲に渡り、数千トン規模の膨大な量のため完全撤去の見通しが立たず、市は、11日以降の作業工程について重機の活用も含め検討している。
7日に判明した大量のイワシ死骸の処理は長期化する見込み。周辺環境の公衆衛生のため、市と道は連携し、早急な対応を進めている。市の松浦眞人農林水産部長は「まず、迅速にできることから開始している。1日も早い完全撤去を目指すが、人海戦術にも限界があるため、重機投入も実施したい。焼却処理の問題もある」と述べた。市によると、悪臭被害などの報告は現状ないが、市と道は焼却処理の方法や、費用面の問題を協議中としている。
午前9時からの撤去作業には、大泉潤市長も視察に訪れた。戸井漁協は「漁への影響は現状把握できていないが、港内にもイワシの死骸が流れ込み、8日はタモ網ですくい上げ、約25トン処理した」とした。
作業現場を訪れた小安町の無職男性(81)は「50年以上戸井地区に住んでいるが、こんなことは今までなかった。市や道の職員に懸命に作業してもらい、ありがたい」と感謝した。除去作業は10日も同じ規模で行う。(竹田 亘)