函館市議会予算決算特別委員会総務分科会(工藤恵美委員長)が6日、開かれた。本年度の一般会計補正予算案で、市民会館の耐震改修に向けて計上した実施設計費4757万円を含む関係部分について、賛成が多数を占めた。13日の本会議でも賛成多数で可決される見通しとなり、市民会館は建て替えではなく、現施設の耐震化を図った上で機能改修を施す方向となった。
賛否態度の確認で、市政クラブと公明党はこれまでの議論を踏まえた上で、賛意を示した。民主・市民ネットは財政的にも建て替えは厳しく、安全性確保が最優先として賛成した。同会派の島昌之氏は「市民合意が得られるかについては首をかしげる」と述べた。
共産党の紺谷克孝氏は判断材料が十分に示されていないとして、実施設計費を予算案から外した上での議論継続を提案したが、賛同が得られなかったため、今回の議案に反対した。一貫して建て替えを主張している市民クラブの小野沢猛史氏は反対した。
予算案や昨年度決算にかかわるこの日の審査でも市民会館をめぐって複数の委員が市教委の考えをただした。
小野沢氏は「わくわくホリデーホール」(札幌市民ホール)を事例に鉄骨造のホールとすることで、建設費の軽減や工期短縮につながると指摘。市民会館では管理棟のみを耐震改修し、大ホール棟は鉄骨造で建て替えることで、「(耐震改修にかかる)35億円の予算内で建て替えが可能。立ち止まって考えるべきだ」と述べた。
文化団体関係者でつくる函館市民会館のこれからを考える会(宍戸雄一代表)からの要望は、一部改修工事で反映されるが、市教委は「今後、実施設計を進めていく中で、必要に応じて考える会とも情報交換し、詳細な検討を行っていく」とした。
市教委は将来的に社会状況の変化を踏まえて、必要なホールの在り方を検討する時期が来るとし、山本真也教育長は建て替えの10年前には議論を開始するべきだとの認識を示し、「人口減少が進む中にあっても、市民の文化活動が広く展開できるよう施策を打っていきたい」と述べた。(今井正一)