サクラ前線が北海道に到達―。函館地方気象台は21日、函館市でサクラの開花を発表した。独自の予想を行っている松前町も同日午前に標準木が開花し、道南は一気に「お花見モード」に突入した。
函館 史上3番目の早さ
函館市でのサクラの開花は、記録が残る1953年以降、昨年(4月20日)に続いて過去3番目に早い開花となった。
北海道付近が高気圧に覆われ、南から暖かい空気が入ったことで気温が上り、同市美原の最高気温は平年より9・4度高く7月上旬並みの22・4度(気象庁速報値)となり、一気に開花が進んだとみられる。同気象台職員が午後3時ごろ、五稜郭公園にある標本木のソメイヨシノで10輪以上が咲いていることを確認した。
同公園では早速、春本格化が間近となった彩りを見ながら散歩したり写真撮影したりする人の姿が多くみられた。札幌市から旅行で訪れた会社員、新山譲さん(27)は「マスク生活などいろんな制限があって心苦しいが、サクラを見ると暗い気持ちも晴れる気がした」と話していた。同気象台によると、4日ほどで満開になるという。
函館市では今年、函館公園、五稜郭公園で電飾は実施しない。また、5月15日まで火気の使用や飲酒、宴会、食べ歩きを禁じる。(長内宏人)
松前 平年より6日早く
松前町では、町内松前城資料館前にあるソメイヨシノの標準木が平年より6日早く、昨年より5日遅い開花した。開花予想を的中させた町商工観光課の松浦慎也係長は「このところ低温が続き、開花が遅くなると思っていたが、急に咲いた。感染症対策を講じて来町してほしい」と呼び掛けた。
250種、1万本のサクラが花開く松前公園内で最も多い早咲きの品種「南殿」も22日の開花が予想される。ソメイヨシノの見ごろは24日、南殿の見ごろは26日からとなる見通し。
北見市から夫婦で訪れた松田祐美さんは「サクラ見物に道南を訪れた。開花宣言に立ち会えてよかった」と話し、満開のフユザクラと記念撮影していた。
松前町は23日から「第74回松前さくらまつり」を開催する。松前神楽、郷土芸能公開公演や松前藩復領200年記念セレモニーなど、多彩なイベントで来町者を迎える。(佐藤由紀彦)