函館市内の新型コロナウイルス感染拡大ペースが5月に入り上昇している。月内で18日現在74人を確認し、4月の57人を大幅に上回っている。2日の10人や13、18両日には8人を数えるなど依然として新規感染が止まらない状況に、市病院局は「現状のままでは、ひとたびクラスター(感染者集団)が発生した場合、函館でも医療ひっ迫状態に陥る可能性がある」と警戒感を強めている。
コロナ病床43床を備える市立函館病院には、18日午前11時現在18人が入院中で、病床使用率は41・9%に及ぶ。症状別の患者の内訳は、重症6人、中等症11人、軽症1人。市病院局の桐澤睦巳管理部長は「現状は札幌市などの流行地ほどひっ迫した状況ではない」としながらも、「国の示す指標の『ステージⅢ』(確保病床の25%以上を使用)は優に上回っている」と話す。
同病院はさらなる感染拡大に備え、一般病棟スタッフをコロナ病棟へ配置転換するなどの対策を検討する一方、通常の診療にも影響が出ないように体制を整える。桐澤部長は「変異株による重症化で市内の療養用施設などから市立函病への搬送が確実に増加している」と説明。工藤寿樹市長も17日の定例記者会見で医療ひっ迫について言及し「あらためて感染予防対策の徹底に努めてほしい」と市民に訴えるなど、危機感を募らせている。(海老田暁)