第一管区海上保安本部函館航空基地は12日、函館市紅葉山町の矢別ダムで、厳冬期の海難救助を想定した氷下潜水訓練を実施した。同基地に所属する機動救難士5人が参加し、水温わずか0・8度の水中での訓練に臨んだ。
機動救難士は、海上で事故や急病人が発生した際にヘリコプターで降下して人命救助にあたるスペシャリストで、道内では同基地にのみ9人が配置されている。氷下潜水訓練は、流氷や結氷した港湾での救助対応力の強化などを目的に実施した。
ダムに張っていた厚さ約60センチの氷を削って10~15メートル間隔に穴を3つ作り、ドライスーツや空気ボンベを装着した隊員が、視界の悪い水中をコンパスで方位を確認しながら穴と穴の間を移動したり、水深6メートルの底に落とした石を探したりするなど、約8時間にわたって訓練を行った。
今年度着任した宝蔵聖也さん(28)は「初めてこの訓練に参加したが、水中は氷に覆われていて暗く、装備をしていても水の冷たさは想像以上だった。1秒でも早く救助できるよう、今回の訓練を生かしたい」と話していた。(金子真人)