応用行動分析学(ABA)の権威で、米オハイオ州立大学名誉教授のウィリアム・ヒューワード博士らが3日、公立はこだて未来大学を訪れ、同大学の和田雅昭教授に「ケアリング・タウン・アワード(優しいまち賞)」を贈った。和田教授らが漁業者とともに取り組む「マリンIT」に関する研究が持続可能な社会の実現に寄与することを評価した。
ヒューワード博士は妻のジル・ダーディグ博士とともに、来年にも予定するABAに関わる絵本の国内出版PRのため来日した。
ヒューワード博士が提唱する同賞はSDGs(エスディージーズ、持続可能な開発目標)の達成に向けた活動など、これまでに世界各地で22件の取り組みに贈った。親交を持つ認定行動分析士博士で、日本でABAの普及に取り組む一般社団法人アジア・パシフィックABAネットワークの田中桜子理事長を通じて、国内初の受賞者が和田教授に決まった。
未来大で行われた授賞式には片桐恭弘学長やマリンITのメンバーも出席。片桐学長は「非常に光栄なこと。ITを使った漁業資源保護の取り組みを認めていいただきありがたい」と感謝した。
ヒューワード博士は南米アマゾンの森林火災と行った世界規模の気候変動を憂う一方、データに基づいて問題解決に結びつけるマリンITの取り組みがABAの考え方に通じるとし、研究に関心を示した。和田教授は「研究仲間や漁業者の方々との活動が認められた。漁師の皆さんにも報告し、今後の励みにしたい」と話していた。(今井正一)