函館市市民部くらし安心課に2015年度寄せられた多重債務相談は、前年度比11件減の268件となった。増加に転じた前年度から再び減少したが、自己破産を選んだ相談者は27人と、弁護士や司法書士に対応を引き継いだ案件の中で占める割合は、依然として高い。同課は「多重債務は誰もがなり得る問題。1人で悩まず早期に相談してほしい」と利用を呼び掛ける。
同課のまとめによると、15年度は277人から268件(電話対応を含む)の相談が寄せられた。対応を引き継いだ45件のうち、自己破産が前年度比3件減の27件と、6割を占める。債権者と弁護士、司法書士間で返済方法を和解する「任意整理」が14件と前年度から1件増えたほか、法テラス(日本司法支援センター)を通じ、弁護士・司法書士費用などを国が一時的に立て替える「民事法律扶助」を利用したのが、同6人減の33人(73・3%)だった。
相談件数の減少は全国的な傾向。14年度については、インターネットやリーフレットなどを活用した市の相談窓口周知の取り組みが奏功し、開設以降初めて増加に転じた。
一方で、例年借金のきっかけとして最も多いのは「低収入」だといい、14年度は半数以上を占めた。債務者の中には家計管理がうまくできず、どんどん借金をしてしまう人や負担が重く、うつ病など「心の問題」を抱えてしまうケースも考えられ、同課の川井公文課長は「借金問題を解決して終わりではなく、他部局との連携を密にし、相談者がしっかりと生活できるようにフォローしていきたい」とする。
くらし安心課は市役所本庁舎1階。相談時間は平日午前8時45分~午後5時半。問い合わせは同課(☎0138・21・3160)へ。(蝦名達也)