国の重要文化財「旧相馬邸」(旧相馬家住宅、元町33)の庭で梅の花が満開となった。新元号「令和」とも関わりが深く、春のやわらかな風に白い花びらを揺らし、新たな時代の到来を歓迎している。
「令和」の出典となった日本最古の歌集「万葉集」の梅花の歌三十二首の序文は、梅の花を愛でる新年の宴に合わせて書かれたものだが、函館近郊では桜と合わせて梅の花もほぼ同時期に咲く。
旧相馬邸は、函館屈指の実業家、相馬哲平(初代、1833年~1921年)が1907(明治40)年の大火後に再建した建物だが、1897(同30)年に邸宅が完成した時の庭木が現在も残るため、玄関脇の洋室前に植えられた梅の木も明治時代からあったとみられる。
満開となった梅は邸宅前を歩く観光客の目を楽しませている。東出伸司館長(79)は「梅の花は相馬家の家紋で、明治30年に最初の邸宅ができた時の庭に植えられた可能性はある。老木だが今でも見事な実が付く。明治、大正、昭和、平成、令和と歴史の重みを感じますね」と話していた。(今井正一)