スルメイカ研究の第一人者として知られ、3月末で北大を定年退職した桜井泰憲さん(65)=北大名誉教授=が1日、函館国際水産・海洋都市推進機構(石尾清広代表理事)が新設した「函館頭足類科学研究所」所長に就任した。市国際水産・海洋総合研究センターを拠点に、イカの研究を継続し「浜が元気になるようなお手伝いをしたい」と意気込んでいる。
研究所は、機構の調査・研究部門の中に新たに設置され、桜井さんが所長(非常勤)を担うことになった。同センター内に事務所を構え、頭足類(イカ、タコ類)の生態・資源研究、高鮮度付加価値化や有効利用に関する研究を行う。
大学教員は教育という大きな仕事があるため、研究に没頭できない現状があった。同センターは国内最大規模の大型実験水槽(300トン)を備え、研究に存分に打ち込める環境が整った。水槽を使い、北大の大学院生や学生と一緒にヤリイカ、スルメイカの飼育実験を行う予定で、産卵行動や光に対する反応などを調べる。
桜井さんは「研究を続けられる場を提供してもらったことに感謝したい。成果を皆さんに還元したい」と強調する。講演会やシンポジウム、子ども向け講座も企画する考えで「市民や漁業者が気軽に相談に来られるような場をつくっていければ」と話している。
桜井さんは、1950年岐阜県出身。73年に北大水産学部卒業、同大学院を経て83年から青森県営浅虫水族館(現あさむし水族館)に勤務。88年、北大水産学部助手となり、28年間勤務し、特任教授で退職した。
問い合わせは同研究所(☎0138・21・4700)へ。(山崎大和)