函館市の市民団体、大間原発訴訟の会(竹田とし子代表)が、電源開発(東京)が建設中の大間原発の建設・運転差し止めを求める訴訟の控訴審は11日、札幌高裁で初回の口頭弁論を迎える。法廷で意見陳述する予定の竹田代表に控訴審へ臨む心境を聞いた。(聞き手・深津慶太)
――函館地裁での訴訟と3月に請求棄却の判決を聞いた時の心境を。
函館地裁に提訴したのが2010年。裁判長が3人変わり、政権交代もあった中で裁判所の対応も変化していった。こうした訴訟は長い時間がかかると思いながら、一生懸命にやってきたが、判決を聞いた途端、一気に悲しくなった。
――判決では「裁判所が原子力規制委員会の審査に先立ち、具体的な審査基準に適合するか否か判断すべきでない」とされた。
付近の活断層の存在を指摘したほか、裁判長に規制委の新規制基準と国際基準との比較を問われ、「不十分だ」という意見書も出せた。しかし、顧みられずに「現時点では(規制委の)審査が通る見込みがない」とされてしまった。
裁判所だからこそ、規制委の判断を待つのではなく、住む人の思いを受け止めてほしかった。
――改めて控訴審で訴えていきたいことは。
福島の原発事故で「原発は人間が制御できるものではない」というのがわかったはずだ。建設して、「後の世代に託すようなことを残していくべきではない」という原点を引き続き訴えていく。
再び長い時間がかかるかもしれないが、まずは函館地裁判決の取り消しと差し戻しを勝ち取り、現在中断中の大間原発の建設が再び動き出すことがないようにしたい。