函館在住のピアニストで中学校教諭の吉本有佑さん(31)が、4月から東京に拠点を移して音楽活動を始める。13年間の函館生活にピリオドを打つ一方、これまで築いたつながりを生かし、引き続き函館の教育に携わる決意を新たにしている。
吉本さんは小樽出身。道教育大函館校芸術文化課程音楽コース(当時)を卒業後、同大大学院を経て函館市内の中学校で音楽教諭として勤務しながら声楽や吹奏楽、函館市民オペラなどさまざまな場面で伴奏を担当。ピアノ伴奏の質の向上に貢献したとして、函館音楽協会の2014年度奨励賞を受賞している。
東京に移る理由は、よりたくさんの人と出会うため。これまで学校に親交のある演奏家を招き、授業で生演奏を見せるなど、自身の活動で得た縁を生徒に還元してきた。そのたびに生徒の生き生きとした表情が見られたという。「演奏者と距離が近い生演奏が、子どもに与えるものは大きい」と実感した。
現在は、関東で知り合った函館出身の音楽家に呼び掛け、母校で演奏してもらうことでキャリア教育に生かせないかと考えている。「音楽はもちろん、芝居やダンスなど音楽以外とのコラボレーションなど工夫を凝らして、子どもたちに『音楽を聞く楽しみ』を伝えたい」と目を輝かせる。
今後は演奏活動の傍ら、横浜市の小学校で非常勤講師を務める。函館にも毎月来る予定で「音楽を通じ、育ててもらった函館と関東を結ぶ架け橋になりたい」と意気込んでいる。(稲船優香)