障害者であるという理由で強制的な不妊手術を行う法的な根拠となった旧優生保護法(1948~96年)についての学習会が23日、函館コミュニティプラザ(シエスタハコダテ内、Gスクエア)で開かれた。DPI(障害者インターナショナル)北海道ブロック会議の山崎恵事務局次長が同法を取り巻く問題について解説した。
NPO法人函館手をつなぐ親の会本人部会「函館いかす会」(山本修会長)の主催で、障害当事者や関係者約20人が参加した。
旧法下では本人の同意がなくても生殖機能をなくす不妊手術が「優生手術」の名で行われた。判明しているだけで全国1万6500件の被害者がいるとされ、このうち道内分が全国最多の2593件を占める。
山崎さんは同法が制定されたのは戦後まもない時代に人口抑制策の側面があったとし、「障害や病気がなんでも遺伝するとされ、国の発展につながらないと考えられた」と指摘。道内は入所型施設が多く、行政が積極的な広報活動を展開していたことも全国最多の理由ではないかとし「医療や福祉関係者も(手術が)いいことをしていると思っていた時代で、疑問もないまま推し進められた」と述べた。
また、出生前診断といった生殖医療技術の発達を背景にして、母体保護の名目で人工妊娠中絶が可能な現行の母体保護法でも優生思想が息づいていると課題を挙げた。一方、強制的に手術を受けた被害者の訴訟が全国で続く中、5月に実名で提訴した札幌市の男性の第1回口頭弁論が今月28日に控えるなど、札幌地裁でも裁判が始まる。山崎さんは「DPI北海道として断固として戦う姿勢で取り組んでいるので応援してほしい」と述べた。(今井正一)