道教育大函館校は19日、函館朝市ひろばで、同日函館港に寄港した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」の外国人乗客らを対象に、道南産の昆布やしいたけなど4種類のだしの飲み比べをするワークショップを初めて実施した。授業の一環で、午前と午後の合計で約20人が日本の伝統的な食文化を体験。函館に降り立った乗客向けの体験型観光を模索する市もこうした取り組みを歓迎し、函館真昆布など特産物のPRにつなげたい考えだ。
(山田大輔)
同校は今年度、観光人材の養成を目的とした「HAKODATEコンシェルジュ養成プログラム」を開設。クルーズ船の海外客を対象に市内観光のニーズを探る実習活動をしている。7月に同船が寄港した際に実施したアンケートでは、乗客から日本文化を体験したいという声が多く寄せられていた。
ワークショップのアイデアは、同校非常勤講師で、同船で行われるショーの司会経験などを持つ河村昌子さんが考案。港町埠頭(ふとう)からシャトルバスでJR函館駅前に到着した乗客らに学生が参加を呼び掛け、会場に誘導した。
参加者は、煮干しやかつお節などでとっただしを飲み比べ、味の違いを体感。その後、しょうゆを足したり、だしを混ぜ合わせたりして香りと味を確かめた。
人気投票では七飯産の王様しいたけが1位を獲得。「味はシンプルだが、香りがいい」などと高く評価された。ワークショップを担当した小林真二教授は「新たな発見があり、市の協力を得ながら今後に生かしたい」と話した。
市も8月に寄港した「飛鳥II」に天然の函館真昆布を無償提供するなど乗客向けの特産品のPRに力を入れている。地域の名物を組み合わせた体験プログラムの造成も検討しており、市港湾空港振興課は同校の取り組みを「今後の選択肢が広がる」と評価する。
一方、今回で函館への入港が32回目となった同船は、9月上旬に予定していた2回の入港が、台風21号の接近と胆振東部地震に伴う停電の影響で取りやめとなっていた。この日は、運航するプリンセス・クルーズ社(米)の日本オフィスが、被災地を元気づけようと「北海道の復興を応援しています」と横断幕を掲げて入港した。