【七飯】大川4の奥村茂樹さん(65)が、青函連絡船の存続と係留保存運動の記録をまとめた著書「青函連絡船をめぐる僕たちのたたかい」が8日、寿郎社から出版された。奥村さんは「地域の近代史を必要とする人に手に取ってほしい」と話している。
青函連絡船は1908(明治41)年、比羅夫丸と田村丸就航に始まり、88(昭和63)年の青函トンネル開業で終航となるまでの80年間、北海道と本州を結ぶ大動脈として活躍した。
奥村さんは35歳だった当時、化粧品会社に勤務。転勤に伴って函館で暮らし、「当時の市民運動としては最大規模だった」と振り返る。函館のシンボルとしての青函連絡船を愛してやまなかった人々との出会いと、港湾都市・函館衰退への不安が執筆のきっかけだったという。
著書は、運動にかかわった人々との出会いや運動の経緯を10章立てで紹介し、人々の思いを一市民の視点でまとめた。奥村さんは「次の世代へ思いが引き継がれていくことを願っており、批判的見地からも読んでほしい。函館の未来を考え、過去を振り返るときに、本を記録の一つとして活用してほしい」と話す。
B6判204ページ。価格は1700円(税別)。市内外の書店で扱うほか、10日午後7時からホテル法華クラブ函館(本町27)で開く出版祝賀パーティーで500冊を準備する。問い合わせは奥村さん(☎0138・65・3042)まで。
(半澤孝平)