賢い消費者になるための知識習得と自立を目指す函館消費者大学(佐藤秀臣学長)は新年度、生徒から要望の多かった法律に関する講座を拡充する。身近な民法と契約をテーマとした新講座を設けるほか、社会情勢を見据えた内容に改正。ノウハウを学んだ卒業生の地域活用などを視野に、事業展開する考えだ。
同大は函館消費者協会が消費者教育推進事業の一環として、2012年4月に開校。民間団体単独での4年制の消費者大学設立は、国内初の取り組みで、継続的に学ぶ場の提供に努めている。
各学年とも毎年5~10月にかけ、10の講座を受講。新年度は2、3、4学年で賃貸借やクレーム処理の事例を踏まえ、契約に関する基礎知識を教える講座を新設する。同大事務局で市消費生活センターの小貫恭也所長は「近年センターへの相談で契約トラブルは多く、被害に遭わないためにも民法について知識を醸成する必要がある」と説明する。
また、栄養補助食品の見分け方など食品関係の講座を拡充。いずれも弁護士や司法書士、社会保険労務士、大学教授など多彩な専門家が講義する。
大学事業は消費者トラブルの未然防止に加え、知識を生かし、地域の担い手として他の市民のトラブル解決につなげる狙いもある。小貫所長は「1人暮らしの高齢者など潜在的に被害に遭う人がいると考えられ、見守り活動やセンターへの橋渡し役をできるような人材を育成したい」とし、卒業後も活動できる体制の構築を検討する。
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31日まで新年度の入学者を募集中。応募資格は4年間継続して受講できる市内在住の18歳以上で定員60人。資料代、保険料として年間2500円必要。市役所や市内公共施設で申込書を配布しており、問い合わせは同大事務局(☎0138・26・2880)へ。(蝦名達也)