「函館の未来を考えるワークショップ」(函館コミュニティプラザGスクエア主催)が10日に開かれた。学生や一般など市民約20人が参加、国の重要文化財に指定されている旧函館区公会堂の活用方法や函館の将来像などを議論した。
公会堂は1910(明治43)年に完成。第1部では現地での見学会で、参加者は公会堂の歴史や、優れた意匠の建物や家具などからみられる当時の西洋の建築技術を取り入れようとする職人らの気風に触れた。
第2部はGスクエアに会場を移し、2グループに分かれて公会堂の活用方法を検討。現在では主に観光客向けの施設となっており、市民にとってなじみが薄れていることから「観光客のための施設から、市民が誇れる施設に」などをテーマにアイデアを出し合った。
議論では、公会堂のホールなどを利用し、市民が日常的に利用できるカフェやレストラン、サロン、図書室としての活用や、ロマンあふれる雰囲気を生かした結婚式やビアガーデンの開催など、参加者同士で自由に意見を交わしグループごとに発表した。
アドバイザーを務めた北大の西山徳明観光学高等研究センター長は「重要文化財は『保存・管理』から『保存・活用』へと法律や考え方が変わりつつある。今のルールではできないことも市民が望むことで変わるかもしれない」と述べ、乃村工藝社(東京)の渡辺創プランニング統括部企画三部部長は「公会堂が(保存していくだけではなく)なくなってしまった函館の文化を掘り起こし、産業につながっていく場になれば」などと講評した。
参加した道教育大函館校2年の松宮亮さん(20)は「今まで公会堂と市民は離れた関係だったが、ワークショップを通じて身近に感じることができた」と話していた。(大谷健人)