1月中旬からまとまった降雪が相次ぎ、今冬の累積降雪量(6日現在)が平年の1・5倍の389センチ、最深積雪は観測史上5番目に多い78センチ(6日)に達している函館市内では、市民がほぼ連日除雪に追われている。特に高齢化率が高い西部地区の住民からは「もう限界だ」と悲鳴が上がる。函館市は、高齢者や身体障害者のみで構成される世帯など対象に、外出時の通路を確保する除雪サービスを無料で行っているが、実施日時や範囲が限られ、ニーズに合った対応が課題となっている。
「今日の雪かきはこれで3回目。休みながらやらないと、体が持たない」―。大雪に見舞われた6日午前、谷地頭町で一人暮らしの小室隆一郎さん(83)は、くたびれた様子で話した。
市がまとめた1月末時点の住民基本台帳によると、同町の老年人口(65歳以上)の割合は45・6%で、全市平均を11・7ポイント上回る。小室さんによると、近所でも独居老人は多いという。
人口の過半数が65歳以上の住吉町で、病気がちの夫と暮らす無職の女性(74)はこの日、除雪作業をしながら「湿り雪で体にこたえる。雪かきで私も倒れそう」とこぼした。
市は高齢者や体に障害のある人を対象に、業者に委託して除雪サービスを実施している。自力で除雪ができず、親族や知人が近くにいないことなどが条件。毎年、地域包括支援センターなどで登録が必要で、家庭訪問などを経て市が利用者を決定する。
20年以上前からあるサービスだが、本年度の登録は全市で500件程度にとどまる。広報誌「市政はこだて」などで周知はしているが、市保健福祉部高齢福祉課は「PR不足もある」とする。
市の除雪車の稼働日に行われるため、大雪の日でも作業は翌日以降となることがほとんど。時間指定はできず、範囲は玄関先から道路までの通路で、一人が通れる幅に限られる。同課によると、「もっと早く来てほしい」「他の場所も除雪してほしい」といった要望の声が寄せられたこともあるという。
サービスは福祉除雪とも呼ばれ、他都市では民間の事業者が行う除雪料金の一部を補助する制度などがある。市内には有料で除雪を行う事業所が約30社あり、作業員1人に付き、1時間当たり3000円程度で対応している。
同課は「福祉サービスなので一定の限度があるが、他地区の事例もみながら、よりよいサービスを目指したい」としている。(山田大輔)