エゾシカによる2014年度の渡島、桧山管内の農林業被害額が前年度比65%減の700万円だったことが、道のまとめで分かった被害額が最も多い函館市が大きく減少したためで、電気柵や金網柵の導入が進んで成果を上げていることに加え、自己防衛のため狩猟免許(わな)を取得する地元住民が増えていることが背景にある
被害額の内訳は渡島が600万円、桧山が100万円13年度の被害額(渡島1800万円、桧山200万円)に比べ大きく減ったこのうち、函館市は13年度の1450万円から14年度は300万円まで減少した
函館市農林水産部によると、市東部の鶴野町や米原町、白石町でのエゾシカ被害が多かった被害対策として国の交付金を受け電気柵4キロ、金網柵3・8キロ(いずれも総延長)を整備したまた、わな猟免許の取得者も13年度は70人だったのに対し、14年度は76人となり、自己防衛に取り組むケースが増えている市は「被害額は対策を講じて減ったが、シカの生息数が減っているとは言えない」(農林整備課)と指摘する
道内の被害額は11年度にピークとなる約64億円に達した事態を重く見た道が捕獲に力を注いだ結果、推定生息数は10年度の63万頭が14年度には48万頭まで低下被害額は3年続けて減り、14年度に約46億円となった振興局別では桧山が最も少なく、次いで渡島の順だった
ただ、道南でも生息数が増加傾向にあると判断、道は12月から来年2月まで道南部(後志、渡島、桧山管内)での生息数を推定する調査を行う南部は情報不足から実態が把握できていなかったが、今回はヘリセンサス、自動撮影、GPS(衛星測位システム)追跡を実施調査結果に基づき、推定生息数を算出し捕獲目標を設定する考えだ(山崎大和)