函館市電と函館バスへの導入を検討しているICカード乗車券について、函館市は14日、市企業局と同社が本年度中にカード事業者を公募し、2016年度末の導入を目指す方針を明らかにした公募はプロポーザル方式で実施し、函館仕様の機器納入やカードの設計などを担う市は観光客の利便性を考慮し、JR各社など全国系カードが利用できる仕様を想定している
同日の市議会第3回定例会で斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)、井田範行氏(市民クラブ)が検討状況について質問した
IC乗車券は、JR東日本の「Suica(スイカ)」など全国10社の相互利用カード(10カード)と、各地域の事業者の独自カード(地域カード)がある地域カードには札幌の「SAPICA(サピカ)」のように市営地下鉄で10カードの利用が可能だが、サピカはスイカの地域で利用ができないなど、〝片利用方式〟の地域カードもある
国土交通省の4月現在のまとめでは、ICカードが2次交通に導入されていない人口20万人以上の都市は23市あり、函館はさらに主要鉄道でも10カードが利用できない10市に含まれている同省の検討会のまとめでは、空白域解消に向けて①10カードへの参加②地域カードに10カードの片利用方式の導入-を推進する方向性を示している
①、②ともに10カードを持つ観光客らは市電や函館バスでも利用できるが、②を採用した場合、函館のカードは東京都内の各鉄道などで利用できない一方で、地域独自の割引制度などサービスを付加しやすいメリットがある
いずれも導入には多額の費用が見込まれ、種田貴司企画部長は「国の補助金確保や市の財政支援が必要と考えている」と述べたまた、田畑浩文企業局交通部長は函館バスとの費用負担について、車両や営業所に設置する機器はそれぞれが負担し、共通仕様となるソフトウエアの開発費などは、乗降客数や事業収入比率などで負担割合を検討するとした(今井正一)