函館在住の木版画家佐藤国男さん(63)が、自らの約半世紀に及ぶ縄文研究をまとめた「妄想か、大発見か…亀ケ岡土器には甲骨文字が刻まれていた」を、新函館ライブラリ(大西剛社長)から出版した津軽海峡周辺で出土した縄文土器の文様が「自分たちの祖霊」を表す「蛇」を意味すると主張した力作だ
北桧山町(現・せたな町)生まれの佐藤さんは小学校時代から縄文土器の発掘に携わってきたが、土器に織り込まれた縄目の文様のなぞを解くことができず「いつか造形に込められた意味を解き明かしたい」と、独自の研究を続けてきた「考古学の本を読み漁ったが、『縄目は装飾』と言うだけで、文様の意味を考えていない」(佐藤さん)と民俗学に答えを求め、古代文字研究家の白川静さんらの著作を手掛かりに、土器や土偶の図柄を読み解いた
書籍では、蛇を祖先の霊としてあがめ、古代エジプトやインドなど世界各地にその存在を残す「蛇崇拝」が、縄文人にも当てはまると指摘道南や東北地方で出土する約3000年前の「亀ケ岡土器」に、古代中国の甲骨文字に由来する細長い文様が残っている?と主張している
佐藤さんは甲骨文字由来の文様が約3000年前の一時期しか残っていないとし、「3000年前は中国の殷(いん)王朝が滅ぼされた時期と重なる出土品の特色などから、国を追われた殷の人々が津軽海峡を挟んだ地域に相当数来たのでは」とみている
B5判76ページで3000部を印刷出版元の大西さんは「足かけ3年の労作あくまで仮説だが、佐藤さんの小学校時代からの取り組みを支援したい」と話している書籍は1400円(税込み)で今月から市内有名書店で販売している電子版はネット販売のアマゾンとコンテン堂で700円(同)で既に発売中問い合わせは同社(電話0138・84・1620)へ(千葉卓陽)