【江差、函館】江差町の社会福祉法人「江差福祉会」(樋口英俊理事長)は22日、前理事長の詐欺事件があった函館市中島町のNPO法人「日本障害者・高齢者生活支援機構」(田中慎一理事長)の再建支援に着手することを明らかにした同会が全国展開する災害備蓄食品づくりの一部を同NPOに委託して中島町のビル内で製造するほか、組織運営面でも指導する樋口理事長は「利用者に対する魅力づくりと地域貢献できる組織の強化などに努めたい」としている
関係者によると、事件発覚直後の3月に同NPOが複数の関係機関に打診し、同会が全面支援を決めた7月から中島町のNPOビル内で災害備蓄食品事業を委託する予定で、6月には同会から女性職員1人を派遣し、本格的な準備に入る
事業内容は、特殊加工の米粉に水を混ぜると1分ほどで餅のような味わいになる新商品「備えもち」のパッケージ詰め作業で、利用者10~15人ほどの雇用を見込む同会が機械を貸与し、原料を届ける販売などは同会のノウハウを活用し、同NPOの一日の売り上げ目標を現在の10~20倍の10万~20万円とする
また、樋口理事長は江差町で展開する惣菜や手づくりパンなどの販売コーナーを中島町のビル1階部分に設け、障害者の雇用充実と地域住民の交流も図りたい考え
同会の授産施設の作業工賃は道内トップレベルで、就労継続支援B型事業所「あすなろパン」(利用者40人)では、昨年の一人当たりの月額平均が15万円になる樋口理事長は「中島町でも高い工賃の提供を目指す見晴らしのよいビルで働き、きちんとした給料、所得補償を受けて自立することで、定住や地域活性化にもつながる」と話している
田中理事長(51)は「江差福祉会の支援を起爆剤として、より求められる福祉サービスの提供に努めていきたい」としている(田中陽介、平尾美陽子)