横浜市在住の手回しオルガン奏者で写真家の紀あささんが、函館市出身の大道芸人、ギリヤーク尼ヶ崎さんを撮影した写真集「伝説の大道芸人ギリヤーク尼ヶ崎への手紙」を出版した唯一無二の舞に魅せられ、函館をはじめ、日本各地で行われた公演を6年間にわたって追いかけた記録だ紀さんは「それぞれのまち、その場で踊りを見ているような気分になる写真集に仕上がった」と話している
紀さんが初めてギリヤークさんの踊りを見たのは2009年10月、東京・新宿の路上「観衆を引き込む迫力とその空間に衝撃を受けた」と振り返るこの日からギリヤークさんを追い掛ける日が続く
写真集は128ページで、収録点数は138点に及ぶ函館で開かれた青空公演を中心に横浜、京都などでも撮影今年5月までの作品を厳選した
ギリヤークさんは阪神大震災と東日本大震災の被災地、神戸市と宮城県気仙沼市で鎮魂の踊りを続けており、静かに祈る姿も収めた「観衆は少なく、踊りはまるで亡くなった人と対話しているかのよう祈り続ける大道芸人がいることを知ってもらえれば」踊りの場面だけではなく、オフショットもあり、「笑顔がすてきな人」と話す
ギリヤークさんにプレゼントするためだけに撮りためた作品を一冊だけ製本して手渡したが、その時に「値段がついてませんね」という言葉をもらい、出版を決めた80歳を過ぎても現役で踊り続けるギリヤークさん3年後には88歳の米寿と芸歴50周年を迎える紀さんは「大道芸の原点であり、伝説の存在同じ大道芸人として心から尊敬しているいつまでも撮影し続けたい」と語る
B5判変型(18センチ×18センチ)で2000円(税別)函館では22日から先行発売する取り扱いはギャラリー村岡(元町)、アトリエfiore(同)、ギャラリー三日月(弥生町)、栄文堂書店(末広町)、はこだて工芸舎(同)ウェブ(http://hakodate.yokohama/gilyak.html)からも購入できる(松宮一郎)