発達中の低気圧により北海道付近が強い冬型の気圧配置となった影響で、21日の渡島・桧山地方は暴風雪に見舞われ、陸上はところにより地吹雪、海上は大しけとなった。北斗市では複数台の車がからむ多重事故が多発したほか、道南発着のフェリーや鉄道、空の便には運休・欠航が相次いだ。
函館地方気象台によると、21日は松前で29メートル、江差で28・6メートル、奥尻空港で25・2メートルの最大瞬間風速を観測した。
北斗市では暴風雪による視界不良が原因とみられる事故が相次いだ。函館中央署や南渡島消防事務組合などによると、午前7時15分ごろ、同市萩野付近の函館江差自動車道北斗追分IC(インターチェンジ)―北斗中央ICの上り線(函館IC方向)上で車計約80台が絡む多重事故が発生。重軽傷者計17人が病院に運ばれたが、このうち同市富川2、大工、吉田信一さん(67)が死亡した。事故の影響で一時180台ほどの車が動けなくなり立ち往生した。同市は車内にいた人を現場から退避させるため、バスで市総合文化センターと市保健センターに分割して運ぶ対応をとった。
道開発局によると、同7時32分から北斗追分IC―北斗中央IC間の上下線が通行止めとなったが、同8時半から北斗茂辺地ICまで区間を変更。午後6時現在、解除時期は未定だという。
同8時20分ごろには市白川の市道で乗用車同士が衝突し、運転していた高齢とみられる男性1人が意識がない状態で函館市内の病院に搬送された。また、同10時40分ごろ、市本郷の国道227号を函館方面に走っていた車や路線バス、タンクローリーなど約25台が絡む事故が発生。路線バスに乗客はいなかった。この事故で6人が病院に運ばれたが、けがの程度は不明という。同署などが事故の詳しい状況を調べている。
函館開発建設部は21日午後0時半から北斗市村山―厚沢部町木間内間の国道227号(18キロ)上下線を通行止めに。道道は上ノ国町湯ノ岱―木古内町鶴岡間の江差木古内線(16・4キロ)など道南の6路線6区間が同日午後8時半現在も通行止めとなっている。
交通機関にも大きな影響が出た。鉄道は函館―札幌間の特急北斗が全便(1~22号)運休したほか、JR函館線は森―長万部間で始発から終日運転を見合わせた。北海道新幹線も2本で最大55分の遅れが生じ、約25人に影響。道南いさりび鉄道は暴風雪により久根別、上磯駅など4駅で列車の進路を切り替えるポイントが動かなくなり、函館―木古内間の28本を運休、6本に最大180分の遅れが出た。22日も始発から同区間の16本を運休する。
JAL(日本航空)は函館―丘珠間の3往復6便と函館―奥尻の1往復2便、ANA(全日空)は函館―新千歳の2往復4便、AIRDO(エアドゥ)は函館―東京と函館―名古屋の函館―羽田の各1往復2便を欠航した。計16便で389人に影響が出た。
津軽海峡フェリーは函館―大間間の2往復4便、青函フェリーは函館発青森行きの1便の欠航を決めた。ハートランドフェリーも江差―奥尻間の1往復2便の運航を取りやめ、60人に影響した。
函館地方気象台によると、22日明け方にかけて渡島・桧山地方では断続的に雪が降り、大雪となるところがある見込み。22日午後6時までの24時間に予想される降雪量は多いところで、渡島北部と桧山北部で40センチ、渡島東部・西部、桧山南部で30センチ。最大瞬間風速は桧山南部と奥尻島の陸上と海上ともに西の風が30メートル。波の高さは渡島西部と桧山で5メートルと予想されている。