19日午後0時53分ごろ、JR北海道のコールセンター(札幌)に、同0時44分新函館北斗駅東京行き北海道新幹線「はやぶさ22号」(10両編成)に「爆破物を仕掛けた」と男の声で電話があった。はやぶさ22号は青函トンネルに入る直前で停車し、乗務員らが車内外を点検、約1時間後に安全確認が取れて同2時2分に運転を再開した。乗客乗員389人にけがはなかったが、上り3本に最大96分の遅れが出て計約1000人に影響したほか、青函トンネル工事関係者らを招待した特別列車の運行が取りやめになった。
同社によると、不審電話は新函館北斗駅に着信し、コールセンターに転送されてきた。これを受けて、はやぶさ22号は青函トンネル前の湯の里知内信号場(知内町)に停まり、不審物の確認作業が行われた。いたずらの可能性が高く、道警が威力業務妨害の疑いで調べている。関係者によると、「JR北海道の経営に対する不満を持った男が犯行に及んだ可能性が高い」としている。
青函トンネル工事関係者らが招待された特別列車は、新函館北斗―新青森間で運行予定だったが急きょ中止に。特別列車の発着が通常列車の運行に影響するためで、今後の開催の有無については検討中という。
木古内駅で特別列車を待った70代の女性は「開業から日も浅いのに、このようないたずらがあって悲しい」。青函トンネルの掘削工事に従事した福島町の角谷敏雄さん(81)は「道南各地から仲間が十数人集まれる機会だっただけに、とても残念」と肩を落した。3年前に他界した工事現場の上司、南島栄さんの遺影を手に訪れた太田賢一さん(80)は「次に乗る時がきたら、また南島親分を連れて一緒にトンネルをくぐるよ」と話した。
新函館北斗駅で東京行きの新幹線を待っていた70代の女性は「いたずら電話だと思うと腹立たしい」。友人の60代女性も「朝市で買った海鮮物を宅配便で送ったが、新幹線の遅れで受け取れなくなった」と困惑していた。