遺愛女子高校吹奏楽局の3年生52人が出演したミュージックビデオ(MV)がこのほど完成し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。(鈴木 潤)
新型コロナウイルス感染拡大の影響で活躍の場を失った3年生のためにと、同校の卒業生で、映像制作会社「ビデオ・ザ・キッド」の社長、藤田道子さんが無償で制作に協力した。
動画は約4分半。演奏会のラストを飾る定番曲「宝島」の演奏音源をBGMに、楽器のパートごとに分かれ、正門前やチャペル、講堂など6カ所で撮影した。生徒たちははつらつとした表情で振り付けやポーズも交えながら楽器を演奏し、曲の終盤では全員がハート型に並び、ドローンで空撮した。
コロナの影響で初出場する予定だった3月の全日本高校選抜吹奏楽大会や全日本吹奏楽コンクールにつながる地区予選などが相次いで中止となり、特に最上級生として高校最後のステージに懸けていた3年生は涙をのんだ。唯一、集大成となる8月の定期演奏会を開催できたのが救いだった。
日頃から演奏会の撮影で同局とかかわってきた藤田さんが、顧問の高久健一教諭にMV制作を提案し、3年生も賛同した。8月下旬、約2時間かけて撮影した。
9月29日の3年生引退式で完成したMVがお披露目され、局員全員で観賞した。前局長の小松麗依奈さん(3年)は「予想以上の出来で、検索して何度も見ています。辛くなった時に元気になる源にしたい」と喜び、高久教諭も「3年生の集大成の動画が完成し、みんなが笑顔で引退することができた」と感謝の思いを口にする。
藤田さんは「コロナ禍の中で、もっとアピールしたいと思う3年生、活躍の場を作ってあげたいと思う高久先生のお手伝いができてよかった。私も良い思い出になった」と話した。