新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、函館市民映画館シネマアイリス(本町、66席)でも入館者の落ち込みが続いている。休館せずに上映を続けているが、密閉空間が敬遠されている状況もあり、苦境の脱出先が見えない。インターネット上では映画監督らの呼び掛けによって、同館のような小規模映画館(ミニシアター)を支援する活動が始まっている。(今井正一)
同館の菅原和博代表(64)によると、道知事が緊急事態宣言を出した2月末頃を境に客足の落ち込みが目立ち、「3月は春休みもあるので例年悪い月ではないのだが7割減」とし、特にシニア層の外出機会減少が大きく響いたとみる。ただ、菅原代表は「五稜郭界隈も人出が減って、週末でも駐車場が空いていたり、飲食店の苦しい話も聞く。決して映画館だけが悪いわけではないので」とする。
また、3月以降は公開延期となる作品も多く、上映予定作品が延期となった場合の代替上映をどうするかも悩みの種。7日に7都府県に発令された政府の緊急事態宣言により、都内などでは映画館そのものが休業せざるを得ない状況も出ている。菅原代表は「来場者がいないのも大変だが、このままでは上映する作品もなくなってしまう」と危機感を募らす。
一方で、今月3日、テレビ朝日のニュース番組「報道ステーション」で名古屋市内のミニシアターの苦境が報じられると、インターネット上では監督や俳優ら映画関係者を中心に支援の動きが広まった。「ミニシアターを救え!」プロジェクトとして、「#(ハッシュタグ) SaveTheCinema」「#ミニシアターエイド」を用いて、オンライン署名活動やクラウドファンディングによる支援の準備が始まっている。
菅原代表は「いつまでこの状況が続くのか。『うちは空いているので来てください』とも言えない。日常のささやかな何かが奪われてしまうことに憤りを感じる」と行き場のない不安を話していた。