函館市入舟町の木造倉庫「Tbase」の空間を利用したアート展が1日から始まる。函館の現代美術家小宮伸二さん(58)による水のインスタレーションやイカ釣り漁船の「いさり火」を活用した作品が並ぶ。7日まで。
Tbaseキュレーターで自身もアーティストのキム-スズキ・ジュンさん(62)は函館の街や気候が気に入り、今年2月に家族で千葉県から完全に移住。函館のアート事情について調べていた際に小宮さんを知り、いくつかの偶然もあって、取得した倉庫空間の活用方法を相談し、初のイベントにつなげた。
倉庫1階には水のインスタレーション作品を展示。鏡を敷いた水のプールに光を当て、水滴が落ちる度に天井や壁に水面の揺らめきが投影されるほか、しずくが器に落ちる音をスピーカーで響かせる演出もある。2階には集魚灯の廃電球を活用したオブジェを展示。ストーブの部品やかつて北斗市三ツ石の瑞石神社にあった木に集魚灯を組み合わせた作品などが並ぶ。
小宮さんは「かつて漁具などを保管していた倉庫で、いさり火は函館の象徴的なもの。LED化が進んでいるが、形として残すのも面白い」と話す。
Tbaseは、9月には西部地区バル街の出店者に貸し出すほか、写真展の予定もある。キム-スズキさんは「小宮さんの作品が並んだことで、イメージ以上に雰囲気が変わった。人々が集まって楽しく分かち合う場所にしていきたい」と話している。
住所は入舟町1の16。展示は午前10時から午後6時で入場無料。1日午後6時からはオープン記念として、函館在住のサウンドデザイナー三上千年さんによるライブなどを開く。(今井正一)