函館市は15日、2018年市文化賞に、函館市民映画館「シネマアイリス」代表の菅原和博さん(62)と函館朗読奉仕会(船矢美幸代表、38人)が決まったと発表した。市文化賞条例を改正し、対象を拡大してから初の選出となった。11月2日に、フォーポイントバイシェラトン函館で贈呈式を行う。
市文化賞はこれまで芸術、科学の2分野だったのを、今年3月の条例改正で芸術、芸能、生活文化、科学、その他の文化の5分野に増やした。今回の受賞は、どちらもその他の文化に該当する。
菅原さんは1996年にシネマアイリスを開館、良質で多様な映画を市民に提供し、映画文化の醸成に貢献した。また、函館出身の作家、佐藤泰志(故人)に光を当て「海炭市叙景」など小説4作品について、企画・製作者として映画化。函館ロケが行われ、作品は国内外で多くの賞を獲得し高く評価されている。現在、映画化4作目となる「きみの鳥はうたえる」を全国で順次公開中。
函館朗読奉仕会は75年に設立。視覚障害者や活字での読書が難しい人への対面朗読・音訳の活動、市中央図書館や児童館、高齢者施設で読み聞かせの活動にも力を入れている。読書を通じ、文化活動の推進に寄与したことが評価された。2007年からは、函館ゆかりの文学作品を朗読で伝える「函館朗読紀行」を毎年開催し、函館の歴史や文学を語り継いでいる。
今月3日に開いた市文化賞審議会(座長・工藤寿樹市長、委員7人)で審査し決定。今回で69回目で、1950年~17年の受賞者は個人148人、団体16団体となっている。(山崎大和)