函館の映画祭から生まれた映画「函館珈琲」(西尾孔志監督)が22日、シネマ太陽函館で公開が始まった。初日には主演の黄川田将也さんからのビデオメッセージが上映されたほか、主要キャストの片岡礼子さん、AZUMIさん、中島トニーさんによる舞台あいさつが行われた。
いとう菜のはさん脚本の同作品は、2013年に行われた函館港イルミナシオン映画祭(米田哲平実行委員長)でシナリオ大賞を受賞。同実行委が映画化を企画し、9月24日に東京・渋谷の映画館ユーロスペースで上映を開始した。
同映画祭発の作品は「オー・ド・ヴィ」「パコダテ人」などがあり、今回で長編映画は6本目。監督には「ソウルフラワートレイン」などで監督を務めた新鋭の西尾さん、主演には過去にも同映画祭受賞作に出演した黄川田さんが選ばれた。オール函館ロケで、昨年8月末から12日間連続の撮影が行われ、同年冬に80分のパイロット版を公開。今回はさらに編集を重ねて全編90分となり、より人間の心の機微を映し出した作品に仕上がった。
藤村佐和役と主題曲を務めたAZUMIさんは、「(映画に登場するアパートの)翡翠館のみんなが未来に向かっていけるような作品になった。皆さんの未来にも寄り添えるような映画だと思っていただけたらうれしい」と話す。米田委員長は「撮影当時の様子が思い出されて感無量。協力してくれた皆さまによる函館愛にあふれた作品となったので、多くの人に見てほしい」と笑顔を見せた。
上ノ国町から来場した須田容子さんは「随所に心をグッとつかまれるような、普段の自分にも当てはまるような、前を向いていくよう励まされるような作品だった」と話していた。(伊藤 尚)