止血の巧みなメカニズム
ぶつけた覚えのないのに腕や足に内出血が出来ることがあります。出血は血管が破れたり切れたりして起こり、身体の外に血液が漏れ出さないのが内出血です。
では出血はどうして止まるのでしょうか。止血の仕組みは4つの段階があります。出血するとまず血液中の血小板が集まり固まって血栓を作り、血管の破れた部分をふさぎます。次に凝固因子が集まってきて血栓を覆い、さらに強固な塊を作ります。これでもう出血が続くことはありません。その後、破れた血管の修復が行われます。血管を裏打ちしている内皮細胞が、傷ついた部分の縁から増えていってふさいでくれます。最後に役目を終えた血栓は血液中の線溶系という成分で溶かされて血管内面は元通りになります。実に巧みなメカニズムです。
出血の問題は3つに分けられます。まず血管の壁の異常で、弱くなって破れやすくなります。血管性紫斑病のほかクッシング症候群などがあります。次は血小板の異常です。量や質に問題がある血栓性血小板減少性紫斑病、急性白血病や再生不良性貧血などで、服用中の薬剤による影響もあります。3番目は凝固因子の異常で、血友病が有名です。
何だかおどろおどろしくなってきたかもしれませんが、実は出血や止血の異常を来す病気はそんなに多くありません。にもかかわらず心配してしまうのは、明らかにぶつけた記憶がないからだと思います。実は細かい血管は痛いと感じない程度の外力であっても破れることがあります。特に高齢者では皮膚が弱くなり直接血管壁に力が及びやすくなります。
内出血があったら慌てずに1~2週間は様子を見ましょう。
もし次々に身体のいろいろな場所に内出血する、もしくは範囲が広くなる場合は病院で相談しましょう。相談は一般の外科や内科で良いと思います。
(ハコラク 2021年4月号掲載)
略歴
昭和62年、京都大学医学部卒業。自治医科大学心臓血管外科にて医療情報部長、中央手術部教授、病院長補佐を歴任後、平成26年4月、こにし内科・心臓血管クリニック開院。
こにし内科・心臓血管クリニック
函館市末広町3-15
☎0138-83-2080
http://www.konishi-clinic.net/
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