歯と認知症の関係
最近、TVの健康番組や週刊誌に「認知症」関連の番組や記事が散見されています。団塊の世代が70歳以上になり、函館市・北斗市・七飯町の人口動態でも団塊の世代が人口のピークを形成していることから、自身の親や自分たちの老後を心配する多くの人の関心を集めているのでしょう。平均寿命が年々延びているのは喜ばしいことですが、今後、高齢者がますます増え、認知症の高齢者も増えるであろうことは否めません。
東北大学が行った高齢者の歯の平均残存歯数と認知症との関連についての研究では、高齢者で健康な人は平均14.9本の歯が残っており、認知症の疑いのある人では平均9.4本残存。この調査によると残っている歯が少ないほど、記憶や学習能力に関わる海馬や、意志や思考の機能を司る前頭葉の容積が少なくなっていると報告されました。つまり歯が無くなると、脳が刺激されなくなり、脳の働きに影響を与えるのです。神奈川歯科大学での研究では「残っている歯が20本以上ある人」と「歯が無く入れ歯も入れていない人」を比較すると後者は1.9倍の認知症リスクがあり、「よくかんで食べることができる人」と「あまりかめない人」を比較すると後者は1.5倍の認知症リスクがあるとの調査結果が出ています。ですから歯が20本以上残存ししっかりかめることに越したことはありませんが、すでに高齢者の人、これから高齢者の仲間入りをする人は部分的に歯が無くても部分入れ歯を入れている、または総入れ歯でもよくかんで食べることができるようになることを目標にしましょう。
定年退職して少し時間に余裕ができたら、かかりつけの歯科医院で歯科検診を行い、しっかりかめる口に整えることが、認知症になるリスクを少しでも下げることに繋がると考えます。
(ハコラク 2018年5月号掲載)
略歴
平成5年、日本大学歯学部卒業。平成8年、現在地でカワムラ歯科クリニックを開業。日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会に所属。平成18年、函館歯科医師会理事、函館市介護認定審査委員に就任。
カワムラ歯科クリニック
函館市松陰町2‐7 ☎0138‐51‐6665
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