不正出血について
産婦人科では、不正出血を主訴に受診される方が多くみられますが、その際、「異常かどうかの判断がわからなくて、受診のタイミングが難しい」といった疑問をよく耳にします。月経以外の出血はすべて不正出血ですが、このほかに月経の量がいつもと違う、持続期間が長いなどの月経にまつわる症状も広い意味で不正出血としてとらえられます。これらには緊急性のあるものと経過観察可能なものがあり、自己判断は困難なことが多いため、迷ったら婦人科受診をしてみることをおすすめします。
では、不正出血がある場合どのような病気が考えられるでしょうか。まずは妊娠中の出血かどうか、そして腟や子宮以外からの出血ではないかどうかを調べます。そのような場合は疑われる病気が変わってくるからです。妊娠時以外に見られる不正出血には、大きく分けて2種類あり、「器質性出血」と「機能性出血」に分類されます。 器質性出血とは、腟や子宮などに何らかの病気があるために起こる出血のことで、原因としては子宮腟部びらん、子宮頚管ポリープ、子宮筋腫、子宮頸がん、子宮体がんなどがあります。一方で機能性出血はこれらの原因がなく、いわゆるホルモンバランスの乱れによって起こるものです。不正出血で受診される方の多くは機能性出血であり、思春期や更年期に出やすい症状です。経過観察でおさまることが多いのですが、出血量が多い場合や出血期間が長い場合は治療を要する場合があります。
受診された際には必要に応じて妊娠反応、子宮がん検診、超音波検査、おりもの検査、血液検査などを行って診断し、治療法を決定するため、症状があれば一度受診しておくこと、また、普段の状態を把握しておくためにも定期的な婦人科検診を行っておくことが大事です。
(ハコラク 2018年6月号掲載)
略歴
平成11年、北海道大学医学部卒業後、同大学病院産婦人科、函館中央病院、平成12年、滝川市立病院、平成15年、国立函館病院、平成16年、市立函館病院勤務を経て、平成18年、函館中央病院産婦人科医長に。平成29年、科長就任。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。専門分野は周産期医学、婦人科腫瘍。
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