上下の歯が接触しすぎていませんか
テストをします。椅子の背もたれから上体を起こして座り、軽く目を閉じてください。そして唇を閉じてください。この時、上と下の歯は接触していますか、離れていますか。離れている方は機能的に正常です。安静時に上下の歯が接触し続ける癖を上下歯列接触癖(じょうげしれつせっしょくへき)と言い、歯科的にいくつか問題が生じることがあります。
上下の歯の間には普段1~3mm程度の隙間があります。物をかんだり、飲み込んだり、会話したりする時には瞬間的に接触しますが、その時間の合計は1日平均20分弱と報告されています。ストレスや精密作業で緊張したり、パソコンやスマートフォンの操作でうつむいた状態を続けると、自然と歯を接触させる時間が増えます。中にはこれが癖になってしまう人がいて、気が付かないうちに口の周りの筋肉や顎(あご)の関節が徐々に疲労していきます。そしてその人が持つ耐久力を超えると顎関節症(がくかんせつしょう)を発症する事があります。顎関節症は顎が痛くなったり、動かす時に音がしたり、口を開けづらくなる病態で、結構多くの方に見受けられます。また、この癖は、歯がしみる、入れ歯を入れていると疲れる、入れ歯が当たる、歯が痛いなどの症状にも関係している可能性があります。
このような症状のある方は癖の頻度を小さくして個人の耐久力の許容範囲内にする必要があります。それにはまず癖が害になる事を理解します。そして1日のうち何回も接触していないかを確認します。例えば歯を離す、力を抜くなどと書いたメモやシールをあちこちに貼ったり、タイマーをかけたりしてそれらを合図に意識します。もし接触しているなら、すぐ深呼吸し上半身の力を抜くことで上下の歯を離します。この繰り返しで癖を是正することができます。試してみて下さい。
(ハコラク 2019年4月号掲載)
略歴
昭和59年、函館中部高校卒。平成2年に北海道大学歯学部を卒業後、札幌市内の歯科を経て、平成17年から吉田歯科口腔外科に勤務。
吉田歯科口腔外科
函館市湯川町1-30-8 ☎0138-59-3918
http://www.ydos.com
■診療科目/歯科、口腔外科、小児歯科
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土・日・祝日9:00~16:30
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