拡大歯科治療をご存知ですか?
最近、歯科医院で拡大鏡(歯科用ルーペ)や顕微鏡(歯科用マイクロスコープ)を使い治療を行うことが多くなっています。拡大歯科治療の大きな特徴は、肉眼では見えないものを3倍から30倍まで拡大し観察できることです。被せ物・詰め物を肉眼では見えない倍率で観察し、不適合部分から入り込んだ虫歯を発見、初期段階で治療します。また、暗く狭い根管部(歯の神経が入っている管)も拡大治療で明るく大きくするため、従来のレントゲンを参考にしながら経験と勘を頼りに行っていた治療とは大きな差が出ます。
歯の根(根管)の治療をもう少しだけ詳しく示します。
根管が感染すると激烈な痛みを伴う場合があり、神経を取り除かなければなりません。ところが、神経を取り除き痛みは無くなったものの肝心の感染源が取れないことがあります。根管はとても複雑な形をしていて、簡単に感染部位を取りきることができません。根管の中は肉眼では見ることができず、見落としが発生、感染部位が残ってしまい再治療になる場合が往々にしてあります。しかし、拡大歯科治療で根管内を詳細に治療することが可能になり、感染部位の見落としを減らすことができ、細部にまで治療ができるようになり、治療の成功率は飛躍的に向上しました。拡大歯科治療は根管治療において大きな効果を発揮し、アメリカでは根管治療を専門に行う歯科医師は、拡大鏡や顕微鏡の使用が必須となっています。
拡大歯科治療のメリットはそれだけではありません。もう一つの大きなメリットとして挙げられるのが〝治療の可視化〟です。多くの歯科用顕微鏡にはビデオカメラを装着し、歯科医師が見ている映像をビデオ記録として残すことができます。映像は治療経過を説明する際に利用できるのはもちろんですが、歯科医療を社会に発信する手段として積極的に利用するべきであると私は考えます。
(ハコラク 2019年3月号掲載)
略歴
平成16年、岩手医科大学を卒業。平成18年、同大学口腔顎顔面再建学講座入局。平成19年、同大学大学院に入学し、平成23年に卒業。道内外の歯科勤務を経て平成28年、シュンデンタルクリニック開院。岩手医科大学非常勤講師。SJCD(Society of Japan Clinical Dentistry)理事。歯学博士。
シュンデンタルクリニック
函館市石川町461-38 ☎0138-47-3737 http://shundc.jp
■診療科目/歯科、歯科口腔外科、小児歯科、矯正歯科
■診療時間/9:00~18:00 ※水・土曜は14:00まで
■休診日/日曜・祝日