歯の発育と必要な栄養
歯はいつ頃、作られると思いますか。妊娠初期の7週頃から乳歯が作られ始めます。歯の種類により時期はずれますが、まず真ん中の前歯から奥歯へ向かって徐々にできていきます。乳歯の後に永久歯も作られます。永久歯の最初は6歳臼歯と呼ばれる第1大臼歯で、妊娠3カ月半頃から作られ始めます。はじめに歯胚という蛋白質の塊ができます。後でカルシウムやリンが沈着し硬くなっていきますが、この現象を石灰化と言い、妊娠4カ月頃から始まります。出生時には乳歯の前歯の歯冠(口の中に出る白い部分)の5分の4くらいができていて、乳歯の奥歯では歯冠の一部しかできていません。この時第1大臼歯は石灰化が始まり、第1小臼歯(真ん中から4番目の永久歯)が作られ始めます。歯は歯冠が完成してから根が形成され伸びていき、徐々に口の中へ移動して、生後半年頃から生え始めます。
このように乳歯も永久歯の一部も、妊娠期間中から作られています。赤ちゃんの歯を丈夫にするには、この時期しっかり栄養を取る事が大事です。具体的には、歯胚を作るのに蛋白質(アジ、卵、牛乳、豆腐など)、歯の石灰化にカルシウムやリン(ヒジキ、チーズ、シラス、牛乳、牛肉、卵など)、カルシウムの代謝を助けるビタミンD(バター、卵黄、牛乳など)、エナメル質の土台となるビタミンA(レバー、ホウレン草、ニンジンなど)、象牙質の土台となるビタミンC(ホウレン草、ミカン、トマト、キャベツなど)と、こういった栄養をバランスよく摂取するよう食事に気を配ってください。
また、そもそも虫歯や歯周病などで痛くて、しっかり食事ができないようでは困ります。妊娠中でも安定期(16~28週)では、ほとんどの治療ができます。悪い所は早めに治すようにしましょう。
(ハコラク 2018年12月号掲載)
略歴
昭和59年、函館中部高校卒。平成2年に北海道大学歯学部を卒業後、札幌市内の歯科を経て、平成17年から吉田歯科口腔外科に勤務。
吉田歯科口腔外科
函館市湯川町1-30-8 ☎0138-59-3918 http://www.ydos.com
■診療科目/歯科、口腔外科、小児歯科
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