最近の子供の虫歯事情
小児歯科は歯科の一分野であり、永久歯列が完成する14~15歳までの子供の歯科疾患を対象とし、健全な永久歯列の獲得を目的としております。日本では、子供の虫歯の増加が社会問題となり始めた昭和31年、歯科大学に初めて小児歯科学講座が開設されました。その後、昭和30~40年代の「虫歯の洪水」の時代を経て、現在では、日本歯科医師会の「8020(ハチマルニイマル)運動」などの虫歯予防啓発や、国民の口腔衛生意識の高まりによって、先進国の中でも子供の虫歯の少なさは、トップレベルを誇るまでになりました。
その一方で、近年、未治療の虫歯が10本以上ある「口腔崩壊」に陥っている子供の存在がテレビや新聞で取りあげられ、注目されております。中学校に入学する頃には、乳歯はほぼ永久歯に生え変わってしまうのですが、「口腔崩壊」に陥ってしまうような口腔環境にさらされた永久歯は、早期に重篤な虫歯になってしまいます。
乳歯の虫歯は、いずれ抜け落ちるのだからと言って放置して良いものではないのです。健全な永久歯列を獲得するためには、適切な治療と口腔衛生指導を受けなければならないのです。
歯科治療経験の少ない子供が多数歯の歯科治療を受けるのは、経済的負担、時間的負担のみならず大きな精神的負担を伴います。しかし、全身麻酔下で行う一括多数歯治療の場合は、時間的負担、精神的負担を大幅に削減できるメリットがあります。治療時の痛みや不快な記憶も残りません。治療内容に、向き不向きはありますが、近年その件数は増加しております。口腔衛生指導は治療後に行います。費用は通常の歯科治療より高額になりますが、子供の場合、市町村による医療費の補助を受けられる場合があるので、確認してください。
(ハコラク 2019年1月号掲載)
略歴
平成9年、北海道医療大学歯学部卒業後、明海大学歯学部大学院小児歯科学に入学。明海大学病院小児歯科勤務を経て、平成15年、函館中央病院歯科口腔外科医長に就任。日本小児歯科学会小児歯科専門医。
函館中央病院
函館市本町33-2 ☎0138-52-1231(代) http://www.chubyou.com/
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