顎変形症の診断と治療
顎変形症はあまり聞き慣れない病名だと思います。顎変形症とは上あごや下あごの形や大きさ、位置の異常により両者のバランスが崩れることによってかみ合わせの異常・発音などの機能異常と顔の変形などの症状を示すものです。顎変形症の発生には遺伝的な要素が強いと言われていますが、ほとんどは原因不明です。
歯科矯正治療はほとんどが自費診療となりますが、顎変形症と診断された場合、矯正治療の中では珍しく保険適用で治療を行うことが可能です。ただし、治療方法が顎矯正手術と矯正治療の複合的な治療になるため、外科的手術を併用します。
基本的には、①矯正治療(術前矯正治療)②顎矯正手術(口腔外科にて全身麻酔下であごを離断し、固定します。入院は2~3週間前後)③矯正治療(術後矯正治療)という治療の流れです。期間は2~4年くらいです。治療は成長がほぼ終了してから行うのが基本となり、16歳くらいからが適応年齢です。
顎変形症の詳しい症状は、大きく分けて4つあります。①受け口(反対咬合)。これは下あごが上あごより前方に位置するものです。手術では下あごを後方にずらします。②出っ歯(上顎前突症or下顎後退症)。相対的に下あごが後方にあるので、下あごを前方にずらす手術を行うことが多いです。稀に上あごを後方にずらす手術も併用することがあります。③あご曲がり(顔面非対称)。これは上あごの非対称と下あごの非対称の2パターンがあり、複雑に混合していることも多いです。④開咬(オープンバイト)。これは奥歯でかんだ時に上の前歯と下の前歯がかみ合わず開いている状態です。
顎変形症の治療は、矯正相談から始まります。簡単な診察を行い、お話を伺います。まずは歯科医院で相談し、詳しく説明を聞いてみることをおすすめします。
(ハコラク 2018年11月号掲載)
略歴
平成20年、北海道医療大学卒業。平成21年、北海道医療大学歯科大学院入学。平成27年から北海道医療大学助教を務め、平成29年4月、函館こんの歯科・矯正歯科を開業。歯学博士。
函館こんの歯科・矯正歯科
函館市昭和1-29-7 昭和タウンプラザB棟2F ☎0138-62-2880
■診療科目/歯科・矯正歯科・小児歯科
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14:00~19:30(土曜は18:00まで)
水9:30~12:30
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