急性膵炎のお話
皆さんはアルコールの飲み過ぎで、みぞおちや背中が痛くなったことはありませんか。それは急性膵炎かもしれません。
急性膵炎とは膵臓で作られる膵液中の消化酵素のうち、タンパク質を分解するトリプシンが、何らかの原因で過剰に分泌・活性化されて、膵臓自身を溶かし始める病気です。症状は上腹部痛や背部痛です。嘔気、嘔吐を伴うこともあります。急性膵炎の原因として、お酒の飲み過ぎや胆石があります。アルコールはビールでは1日500Mlまで、日本酒では1日1合までは適量ですが、それを超えて過剰に摂取すると、膵液の分泌が増加、あるいは膵管の出口が障害されて膵液が膵管に逆流し、急性膵炎を起こします。また、膵管と総胆管は出口部分で合流しているため、胆石が総胆管の十二指腸への出口部分に詰まると、膵液の十二指腸への排出が阻害され、膵液が膵管に逆流し急性膵炎を起こします。アルコールによる急性膵炎は男性に多く、胆石によるものは女性に多いです。診断は突然起こる激しい上腹痛や背部痛があり、アルコールの多飲、胆石がある場合は急性膵炎を疑って、血液、尿検査を行い、血中、尿中アミラーゼが上昇しているか確認します。ここのアミラーゼとは膵液中に存在し、炭水化物を分解する消化酵素です。
急性膵炎の診断のために腹部超音波検査や腹部CT、腹部MRIも行われます。急性膵炎の治療は入院して絶食、点滴、薬物療法を行います。急性膵炎の予後は約80%は軽症ですが、残り約20%が重症化します。重症化例では膵臓が壊死を起こし、多臓器不全を起こすものもあります。再発防止のため、アルコールによる急性膵炎では禁酒をし、胆石によるものでは胆嚢摘出術やEST(内視鏡による治療)を行います。
(ハコラク 2021年2月号掲載)
略歴
函館市出身。平成7年、弘前大学大学院医学研究科卒業。弘前大学附属病院第一内科を始め、勤務医を経て、平成19年、平野内科胃腸科を開業。平成28年10月、医療法人社団平野メディカルグループ 平野内科に組織変更。
平野内科
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