ドイツ政府に原発全廃を提言した倫理委員で、ミュンヘン工科大バイエルン公共政策研究科のミランダ・シュラーズ教授の講演会(実行委主催)が1日、函館市のカトリック元町教会で開かれた。ミランダ教授は、ドイツのエネルギー政策転換の背景と現状に触れながら、脱原発の意義を訴えた。
約80人が参加。ミランダ教授は、2011年の福島第一原発事故がドイツの原発推進方針を180度変えたと説明。「(1986年に旧ソ連で起きた)チェルノブイリ原発事故の記憶がよみがえり、『原発の時代は終わり』という考えが国民に広がった」と述べた。
ドイツのエネルギー政策に関し、固定価格買い取り制度を導入した結果、総発電量に占める再生可能エネルギーの割合が40%を超えたと紹介。「再生可能エネルギーの普及で原子力を段階的にゼロにすることは、将来の経済のために大きなチャンスになる」と力を込めた。
また、脱原発と同時に地球温暖化への早急な対策も必要だと強調。「将来の世代への影響を最小限にとどめるには、私たちに待っている時間はない。節電やエネルギー政策の転換、二酸化炭素の削減は、今取り組まなければならない問題だ」と述べた。
2日には、札幌でも講演する。(山田大輔)